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ネオポップとは|ポップアートとの違いや代表アーティスト・作品を紹介

ネオポップとは|ポップアートとの違いや代表アーティスト・作品を紹介

ネオポップアートとは、漫画やアニメを題材としたアート運動・作品です。日本のサブカルチャーを反映した、ポップでどこか遊び心のあるアートは国内外で高く評価されています。

今回の記事では、ネオポップの概要やさまざまなアートとの関連性、歴史、代表アーティスト・作品について紹介します。ネオポップアートに興味がある方はぜひ参考にしてください。

ネオポップとは

ネオポップとは、1990年頃に日本のアーティストによって誕生したアートです。具体的には奈良美智、村上隆、中村政人、太郎千恵蔵、中原浩大など、1990年前後に登場した若手作家や作品のことを指します。

ネオポップは日本の漫画やアニメなどのサブカルチャーをテーマとした作品が多いのが特徴です。漫画やアニメが持つカラフルでファンタジックな世界観を取り込みつつ、独自のアートとして表現します。

ネオポップアートは、若い世代やポップカルチャー愛好者に人気があり、美術館やギャラリーにおいても注目を集めています。

ポップアートとの関連性

ポップアートとは、1950年代半ば頃、アメリカ・イギリスで広まった芸術運動・作品です。大衆文化・大量消費をテーマに扱っており、商業広告・雑誌・漫画・報道写真などを素材として扱っています。

ネオポップアートは「ネオ(新しい)」とポップアートで構成された言葉であり、ポップアートに由来しています。ネオポップアートは、ポップアートが取り扱う大衆文化のなかでも、特に漫画やアニメにフォーカスしている点が主な特徴です。

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シミュレーショニズムとの関連性

シミュレーショニズムとは、1980年代頃にニューヨークを中心に流行した芸術運動であり、流用やコピーをすることでオリジナルを越えようする取り組みです。

既存のイメージを流用する「サンプリング」、オリジナルのイメージを切り刻む「カットアップ」、イメージを反復する「リミックス」が代表的な技法です。ネオポップアートは、シミュレーショニズムから影響を受けて生まれたアートとされています。

ネオ・ダダとの違い

ネオ・ダダとは、1950年後半から1960年代にニューヨークを中心に行われた前衛芸術運動です。芸術運動であるダダイズムと類似点があることから、ネオ・ダダと呼ばれています。また、後のポップアートの先駆けと言われており、「プロト・ポップ」と呼ばれることがあります。

ネオポップは、漫画やアニメを題材としますが、ネオ・ダダは、日用品や印刷物、廃材など素材を使った作品が多いです。

ネオポップが日本で生まれた背景・歴史

ネオポップは、奈良美智、村上隆、中村政人、太郎千恵蔵、中原浩大日本のアーティストによって生まれたアート動向です。1980年にニューヨークを中心に流行したシミュレーショニズムから影響を受け誕生しました。

アニメや漫画といったサブカルチャーのイメージを多用しながら、60年代のポップアートを連想させるような画風を確立したのです。現在もなお、村上隆や奈良美智など日本アート界を牽引する作家を中心に世界でも高い評価を得ています。

ネオポップの代表アーティスト・作品

ここでは、ネオポップの代表アーティストについて、作品もあわせて紹介します。

村上隆

村上隆は、1962年生まれの東京都出身のアーティストです。アニメや漫画といったオタク文化をアートに昇華させた「Super Flat」というコンセプトを提唱。オタク文化を欧米の美術史の中に位置づけることに成功しています。

作品はカラフルでキュートなキャラクターと花のモチーフ、そして日本の伝統とポップカルチャーを融合させた独自のスタイルが特徴です。また、アーティストだけでなく、キュレーター、コレクター、映画監督、有限会社カイカイキキの創業者など多方面で活躍しています。

代表作品「お花」シリーズ

村上隆の象徴ともいえる「お花」シリーズ。カラフルな花の中央に笑顔が描かれています。村上隆が東京藝術大学の受験勉強の際に、花を毎日描いていたことをきっかけに生まれた作品です。

「花」シリーズはさまざまブランドやキャラクターとのコラボ作品を制作しており、LOUIS VUITTONやUNIQLO、ドラえもんなどが有名です。

中原浩大

中原浩大は、1961年生まれ岡山県出身のアーティストです。京都市立芸術大学大学院美術研究科を修了。現在は京都市立芸術大学彫刻科の教授を務めています。

1980年代ごろは関西を拠点に活動する若手作家グループ「関西ニューウェーブ」の中心人物として活躍。1990年代以降は毛トランポリンや回転椅子、プラモデルやラジコンカー、キャラクター人形など既製品を使った作品で注目されるようになりました。

代表作品「無題 (レゴ・モンスター)」

レゴで怪物を表現した当作品は「ブロックがたくさんあれば、もっと大きなものを作れる」という中原の幼少時代の夢を実現した作品です。

17万個の六色のレゴを積み上げた作品は、圧倒的な迫力と驚異的な細かさで鑑賞者を魅了します。現在は豊田市美術館に所蔵されています。

奈良美智

奈良美智は、1936年生まれの青森県出身のアーティストです。少女や動物をモチーフとした作品が多いのが特徴です。代表作である「ナイフ・ビハインド・バック」「dead of night」はどちらもこちらをにらみつける可愛げな少女が描かれています。

奈良の作品には無邪気さや反抗心が共存した作品が多く見られ、国内外でファンが多いアーティストです。

代表作品「あおもり犬」

あおもり犬は、青森県立美術館に展示されている、高さ8.5メートルの巨大な純白の犬の彫刻です。半身が地中に埋まっています。青森県立美術館の設立テーマである「遺跡発掘」から、この作品は美術館ができる前から埋まっていて発掘途中である」という設定です。

中村政人

中村政人は1963年生まれの秋田県出身のアーティストです。東京芸術大学美術学部絵画科卒業。大学では油絵を学んでいましたが、1990年代半ばからインスタレーションへと制作を移行しています。

「美術と社会」「美術と教育」との関わりを題材とし、さまざまなアート・プロジェクトを手掛けています。他にも、民設民営をコンセプトにしたアートセンター「アーツ千代田 3331」の統括ディレクターとしても活躍をしています。

代表作品「QSC+mV / V.V」

「QSC+mV / V.V」はマクドナルド社のMサインを使った電飾作品。2001年第49回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展にて出展されました。高さ約4メートルまで拡大され円形に並べられたMサインが部屋全体を黄色く照らします。

また、展示する際の企業に許諾を取るプロセスをも一連のアートとして表現しているのも特徴です。

太郎千恵蔵

太郎千恵蔵は、1962年生まれの東京都出身のアーティストです。ニューヨーク大学を卒業後、ベルリンを拠点に活動を続けています。

1994年より古典絵画を背景に、アニメや特撮のモチーフを取り入れた絵画の制作を開始。内なる世界と外界との境界を探る太郎千恵蔵は、サブカルチャーの要素を作品に取り込み、鑑賞者をアニメやコミックの疑似空間に連れ出します。

代表作品「プリンセス・パーティー I」

プリンセス・パーティー Iは、赤やピンク、黄色などの子供用ワンピースが自立し、下部にはモーター付きの台車が付いた作品です。本来着ているはずの子供の姿はなく、見栄のための服だけが存在します。社会のシステや流れに影響されやすい現代人の身体を象徴的に表現した作品です。

まとめ

ネオポップアートは、1990年頃村上隆や奈良美智などの日本アーティストによって生まれたアート動向の一つです。ポップアートやシミュレーショニズムの特徴を持ちながらも、漫画やアニメといったサブカルチャーの特徴を吸収することで独自のアートスタイルを確立しました。

魅力的なカラフルさやキュートな要素を含んだネオポップアートは、美術館やギャラリーなどで鑑賞できます。ネオポップアートに興味を持った方は、ぜひ足を運んでみてはいかかでしょうか。

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