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アクションペインティングとは|歴史や世界・日本の代表アーティストを紹介

アクションペインティングとは|歴史や世界・日本の代表アーティストを紹介

アクションペインティングとは、絵の負を垂らしたり、飛び散らせたり、汚しつけたりするようにして制作するアート様式です。

この記事では、アクションペインティングの概要や歴史、代表アーティストを紹介します。アクションペインティングに興味がある方はぜひ参考にしてください。

アクションペインティングとは

アクション・ペインティングとは、20世紀のアメリカで生まれた抽象表現主義の技法の一つです。絵の具を垂らしたり、飛び散らせたり、汚しつけたりするなどのやり方でアートを制作します。

アクションペインティングは出来上がった作品自体ではなく、絵を描く行為や過程を重要視しているのが特徴です。そのため、ジェスチュラル・ペインティング(身振りによる抽象絵画)と呼ばれることもあります。

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アクションペインティングが広まった背景・歴史

アクションペインティングの歴史は、第2次世界大戦の1940年代後半以降のアメリカ・ニューヨークから始まりました。

アクションペインティングという概念・言葉が実際に使われるようになったのは1952年頃。批評家のハロルド・ローゼンバーグが雑誌「アートニューズ」で発表した論文「アメリカのアクション・ぺインターたち」にて提唱されました。

その後ニューヨーク派と呼ばれた抽象表現主義者たちを中心に広まり、アートとしてのアクションペインティングが評価されるようになったのです。画の上でアクションを起こす全く新しい表現技法は、ハプニング・フルクサスや現代アートなど、その後のアートの動向に大きな影響を与えました。

アクションペインティングの代表アーティスト3人

ここでは、アクションペインティングの代表アーティストを3人紹介します。

1. ジャクソン・ポロック

ジャクソン・ポロックは1912年生まれアメリカ出身のアーティストです。「アクションペインティングの旗手」と評されるアーティストであり、アメリカの抽象表現主義を代表する人物です。絵具を滴らせる「ドロッピング」や、絵具を流し込む「ポーリング」といった独自のスタイルを展開しました。

アルコール依存症で知られていたポロックは、美術批評家から高い評価を得る一方で、マスコミからは絵の具をただぶちまけていただけだと批判されることもあったようです。しかし、ポロックは「偶然ではない、自分が絵の具の流れをコントロールしている」と語っています。

代表作は「秘密の守護者」、「ブルー・ポールズ:第11番」など。2016年には代表作「ナンバー 17A」が224億円で購入されています。

2. ウィレム・デクーニング

ウィレム・デクーニングは、1904年生まれオランダ出身のアーティストです。1926年にアメリカに密航し、以来ニューヨークを拠点に活動を続けました。ポロック同様、20世紀のアクションペインティングを大業するアーティストの一人です。

彼の作品は生き生きとした筆触や大胆な色使いが特徴です。代表作は「発掘」、「女」シリーズなど。とくに1950年から制作し始めた「女」シリーズは、彼の象徴ともいえる作品。抽象的でありながらも力強く存在感を放つ絵は、抽象表現主義の作品として高い評価を得ています。

3. フランツ・クライン

フランツ・クラインは、1910年生まれアメリカ出身のアーティストです。1940年代前半までは、肖像画や風景を中心に描いていましたが、ウィレム・デクーニングやジャクソン・ポロックに出会ったことをきっかけに、抽象表現の作品を手掛けるようになりました。

1950年にはイーガンのギャラリーにて初めての個展を開催。白と黒で描いた11枚の抽象画を出品します。翌年には大型アクションペインティング作品を発表し、抽象表現主義のアーティストとして注目されるようになりました。

代表作は「黒、白、灰色」「チーフ」など。「黒、白、灰色」はメトロポリタン美術館で鑑賞できます。

アクションペインティングで有名な日本人アーティスト3人

日本でもアクションペインティングを行っているアーティストがいます。ここでは、アクションペインティングで有名な日本人アーティストを3人紹介します。

1. 白髪一雄

白髪一雄は1924年生まれ兵庫県出身のアーティストです。幼少期より絵を描くことを好んでいた彼は、中学は絵画部に所属、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)では日本画を学びました。

大学卒業後に日本画から洋画に転向。風景画や人物画をメインとしていた彼は描き方を大きく変更します。天井からぶらさがったロープにつかまりながら、身体をダイナミックに動かしながら素足で描く「フット・ペインティング」を確立しました。

2. 元永定正

元永定正は、1922年生まれ三重県出身のアーティスト、絵本作家です。絵本も手掛ける彼の作品は、鮮やかな色彩やキャラクターのようなユーモラスな画風を伴っているのが特徴です。日本画の伝統的な画法「たらしこみ」の応用、エアブラシを使ったグラデーションなど独自の技法を次々に展開しました。

国内外で高い評価を得ており、第2回芸術文化振興協会賞、第15回日本芸術大賞、芸術文芸シュバリェ賞など多数の受賞歴があります。

3. 篠原有司男

篠原有司男は、1932年生まれの東京都出身のアーティストです。本名は牛男で、「ギュウちゃん」の愛称で親しまれています。東京藝術大学を退学後、前衛芸術運動ネオ・ダダイズムのメンバーとして活躍しました。1969年に渡米して以降、現在もなおニューヨークを拠点に精力的な活動を続けています。

スポンジを巻きつけたグローブに絵具を浸し、大きなキャンパスに幾度となくパンチすることによって描く「ボクシングペインティング」が有名です。

まとめ

今回の記事では、アクションペインティングの概要や歴史、代表アーティストを紹介しました。アクションペインティングは、身体的なジェスチャーや動きに焦点を当てたアートであり、顔料を垂らしたり、飛び散らせたりするなどの動きのあるのが特徴です。

アクションを加えることによって生まれるダイナミックさやインパクトが、アクションペインティングの良さです。当記事をきっかけにアクションペインティングを含め、抽象画に興味を持ってもらえたら幸いです。

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