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抽象画とは|起源や種類、代表作品、有名日本人アーティストを紹介

抽象画とは|起源や種類、代表作品、有名日本人アーティストを紹介

抽象画は、色や線、形などで構成される絵画表現。まるで子供の落書きのような絵を見て、

「抽象画が理解できない」
「抽象画の良さが分からない」

と感じる方も多いのではないでしょうか?今回の記事では、抽象画の起源や種類、代表作品、有名日本人アーティストを紹介します。抽象画の楽しみ方についても触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

絵画には、抽象画以外にもさまざまな技法・流派があります。詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

絵画の種類|技法・流派・作品物に分類して分かりやすくご紹介

抽象画とは

抽象画は具体的な対象を描写しない、色や線、形などで描かれる絵画作品です。

実在するものを具体的に描いた絵画を「具象画」といい、目の前の実在する人や風景を再現することに重きを置いています。

一方の抽象画では、形のないものを画家独自の世界観で描いていくのが特徴です。まるで子供が描いたような絵、幾何学的で何を表現しているのか絵などが多いことから、難解なイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

抽象画は線や色、形、構成に着目することで、絵画の本質的な美しさを追求した絵画作品なのです。難解なイメージを持たれがちな抽象画ですが、あまり考えることなく、純粋に絵画と向き合い、楽しめる魅力があります。

抽象画の歴史

抽象画の起源に関しては、諸説あります。これは抽象画がモスクワやパリ、ドイツなどで同時多発的に始まった絵画表現だからです。

代表的な流れとして挙げられるのが、ポール・セザンヌの影響を受けブラックピカソが創始したキュビズム。この絵画様式はブラックやピカソが創始したキュビズムに受け継がれ、その後誕生する抽象画の基盤となっています。

抽象画の概念を確立したのはカンディンスキーもしくはモンドリアンといわれています。純粋抽象絵画や新造形主義といった抽象画の絵画技法を確立し、抽象画の発展に貢献しました。

抽象画の種類

抽象画といっても、表現技法によって様々な抽象画があります。ここでは抽象画の種類について紹介します。

1. キュビズム

キュビズムは、ジョルジュ・ブラックやピカソが始めた抽象画の手法。1つの視点から具象絵画を描くこれまでの手法に対し、キュビズムは複数の視点から見たイメージを一つの画に収めようと表現する手法です。

1907年にピカソが「アヴィニョンの娘たち」を制作した頃からキュビズムは始まったと言われています。角張った身体に、歪む顔。従来の写実的描写とはかけ離れた姿は、当時の人々に大きな影響を与えました。

2. 純粋抽象絵画

純粋抽象絵画は、自己の内面を創造活動の基本とした抽象絵画。「自己表現的抽象」とも呼ばれるこの絵画は、作者の感情を反映させ作品に表現することを目指しています。

代表的な画家として、ワシリー・カンディンスキーが挙げられます。

3. 新造形主義

新造形主義はモンドリアンによって提唱された幾何学的抽象芸術理論。1917年に創刊された芸術雑誌「デ・ステイル」にて初めて、新造形主義を提唱しました。

水平線や垂直線を使ったり、三原色と無彩色を組み合わせた色彩を用いたりすることで、あらゆる抽象表現を幾何学的に実現しようとする理論となっています。

4. アクション・ペインティング

アクション・ペインティングは1940年代後半以降アメリカで広まった絵画の傾向。顔料を垂らしたり、飛び散らせたり、汚しつけたりするようにして作品を完成させる絵画様式で、ジェスチュラル・ペインティング(身振りによる抽象絵画)と呼ばれることもあります。

完成した絵画よりも、創作過程(アクション)が強調された作品といえます。画の上でアクションを起こす全く新しい表現技法は、これまでのアートの動向に大きな影響を与えました。

5. カラーフィールド

カラーフィールドは、色彩による「面」の領域が画面の中で大きな割合を示す絵画のこと。元々は批評家クレメント・グリーンバーグがバーネット・ニューマンの絵画を評するために用いた言葉でしたが、色彩を強調した抽象絵画を説明するために、一般的にも使われるようになりました。

造形を構成するはずの線・形・幾何学的な要素を含めず、キャンバス全体を色数の少ない大きな色彩の面で塗りこむのが特徴です。

代表的な画家として、バーネット・ニューマンやマーク・ロスコなどが挙げられます。

抽象画の楽しみ方

難解なイメージを持たれがちな抽象絵画ですが、そう気構える必要はありません。「抽象画の楽しみ方はこうあるべき」といったルールはなく、自由気ままに楽しめるのが抽象画の魅力です。

とはいえ、抽象絵画の楽しみ方が分からないという方もいるでしょう。以下にて抽象画の楽しみについてまとめしたので、参考にしてみてください。

  • 色彩・ビジュアルを楽しむ
  • 自分なりに想像してみる
  • 作品の背景にある歴史を理解する
  • 画家について調べる

抽象画に限らずアートの楽しみ方は人それぞれ。純粋に美しい色彩や描写を楽しむのも良し。作品の意図や背景を考えるのも良し。自分にあった楽しみ方で抽象画を楽しんでみましょう。

 

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抽象画の有名アーティスト・代表作

ここでは抽象画の有名アーティストを、代表作とともに紹介していきます。

1. ワシリー・カンディンスキー

ワシリー・カンディンスキーはロシア出身の画家で「熱い抽象」と呼ばれています。カンディンスキーの作品は主に、外的なものを受容する「印象」、内にある記憶などをもとに感じたままを描く「即興」、「コンポジション」の3つに分けて制作するのが特徴。

抽象画の祖とされるカンディンスキーは20世紀前半の抽象絵画の創出と発展に大きな影響を与えました。

代表作「コンポジションVIII」

「コンポジションVIII」は、カンディンスキーが約30年に渡り取り組んだ10枚のコンポジションシリーズの中の一作品。1923年、彼がバウハウスで教鞭をとっていた頃に制作されました。直線や円が重なって散りばめられた幾何学的な印象を与えます。

2. パウル・クレー

パウル・クレーはスイス出身の画家。父は音楽教師、母も音楽学校で声楽を学ぶという音楽一家。クレー自身も早くからヴァイオリンに親しみ、11歳でベルンのオーケストラに籍を置くなどプロ級の腕前を持っていました。

一方、絵画への関心も芽生え始めた彼は、絵の道を志します。その後はカンディンスキーらとともに「青騎士」を結成。バウハウスで教鞭を取っています。

代表作「セネシオ」

代表作「セネシオ」は老人の頭部が描かれた絵画。豊かな色彩が特徴であるクレーの作品のなかでもこの作品では、オレンジ、赤、黄といった様々な色を使って老人が描かれています。

3. ピエト・モンドリアン

ピエト・モンドリアンはオランダ出身の画家。カンデンスキーの「熱い抽象」に対してモンドリアンは「冷たい抽象」と呼ばれています。初期には風景、樹木などを描いていた彼でしたが、ピカソなどのキュビズム作品に感銘を受け、完全な抽象へ移行。

代表作「ニューヨークシティ」

「ニューヨークシティ」は赤、青、黄の光の三原色を使い、ニューヨークのストリートが交わる様子を表現した作品となっています。幾何学的な形態とシンプルな色彩で構成されるモンドリアンの作風が、ニューヨークの風景を明るく綺羅びやかに表現しています。

最近では、この作品の粘着テープを使用したバージョンである「ニューヨークシティI」が75年間、多くのギャラリーで逆さまに展示されていることを美術史の専門家が指摘をし、話題となりました。

ニューヨークシティ (絵画) – Wikipedia

抽象画で有名な日本人アーティスト

ここでは抽象画で有名な日本人アーティストを紹介します。

1. 白髪一雄

白髪一雄は兵庫県出身の画家。幼少期より絵を描くことを好んでいた彼は、中学は絵画部に所属、京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)では日本画を学びました。

大学卒業後に日本画から洋画に転向。風景画や人物画をメインとしていた彼は描き方を大幅に変更。天井から吊るしたロープにつかまりながら、床に広げたキャンバスの上に絵具を出し、体をダイナミックに動かしながら足を使って描く「フット・ペインティング」を確立しました。

尼崎市民芸術賞、兵庫県文化賞、文部大臣文化功労者表彰など多くの賞を受賞しています。

2. 富田正宣

富田正宣は熊本県出身の画家。2013年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。油彩による抽象絵画を中心に制作する彼の作品は、色彩あふれる豊かなバリエーションが特徴的。表情豊かな画風は、見る人を惹きつけます。

その活動は日本に留まらず、海外にも出展。主な展覧会として「LE BISCUIT À SOUPE」HIGH ART ARLES(アルル)「LA CONSTITUANTE」(Parliament、パリ)などが挙げられます。

現代アートで有名な日本人15選|注目すべき若手アーティストも紹介

まとめ

今回の記事では、抽象画の起源や種類、代表作品、有名アーティストを紹介しました。抽象画は抽象画は具体的な対象を描写しない、色や線、形だけで描かれる絵画作品。一見すると、何を表現しているか分からない

また、種類や作品の背景や歴史、画家に着目することで、また違った視点で抽象画を楽しむことができます。美術館やギャラリーには様々な抽象画が展示されています。ぜひ、足を運びあなたの目で抽象画の魅力を体験してみてください。

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