グラフィティアートとは|ストリートアートとの違いや代表アーティスト・スポットを紹介
グラフィティアートは主にスプレーを用いて描かれるアート手法の一つです。この記事では、グラフィティアートの概要や違法性、楽しみ方、有名な代表アーティスト、有名スポットを紹介します。
「グラフィティアートアートとはどんなアート?」
「グラフィティアートアートで有名アーティストを知りたい」
このような疑問を持っている方はぜひ最後まで一読ください。
目次
グラフィティアートとは
グラフィティアートとは、スプレーをメインに公共の壁や電車、シャッターなどに描かれる文字や絵のことを指します。英語では「落書きの芸術」という意味があり、解釈する人によってアートにも落書きになりうる作品です。
グラフィティアートの歴史・ルーツ
グラフィティアートの歴史・ルーツには諸説ありますが、「アート」として認識されるようになったのは1970年代頃アメリカ・ニューヨークからとされています。街の壁や地下鉄などに描かれ、落書きのようなものもあれば、差別問題などメッセージ性の強いものも表現されていました。
1980年代から流行したヒップホップカルチャーを背景に、グラフィティアートは世界的な広がりを見せ、アーティストたちは独自のスタイルを発展させていきました。落書きから始まったものでしたが、オークションなどを中心に人気が集まり、アートとして次第に評価されるようになりました。
日本においても以前は悪質な落書きが多い印象であったグラフィティアートでしたが、バンクシーやキースヘリングなどによってアートとしての認知が広まり、その動向が注目されるようになっています。
ストリートアートとの違い
ストリートアートは、壁や建物に描くアート全般を指すアート形式です。違いとしては、グラフィティアートは文字や名前ベースの作品が多いのに対して、ストリートアートは、シンボルやイメージ、イラストが多いのが特徴です。
グラフィティは、仲間内で名前の有名性を競い合うことに焦点を当てます。一方のストリートアートは、作品を通してメッセージを伝えることに重きを置いていることが多いです。
他にもグラフィティは主にスプレーが使用されますが、ストリートアートはスプレー以外にもモザイクタイル、ステンシル、LED、ステッカーなど様々な技法を使って描かれる点も両者の違いとして挙げられるでしょう。
しかし、グラフィティアートで使われる技法はストリートアートに通ずるものがあり、グラフィティアートをストリートアートの一部として捉えられることもあります。
グラフィティアートは違法?
公共物・私物など所有者の許可なく描くグラフィティアートは、基本的に違法です。罪状は場所や規模によって異なりますが、建造物損壊罪や器物損壊罪などの対象となります。
しかし、バンクシーなどの有名アーティストは罪に問われないのかという意見もあり、グラフィティアートの違法性については見解が分かれるところです。もちろん、合法的に認められた場所やプロジェクトでは、都市の美化やアートの振興の一環として歓迎されているケースもあります。
グラフィティアートはどう鑑賞する?
グラフィティアートの楽しみ方はさまざまです。まず、建物や道路などの公共物との融合を楽しむのが良いでしょう。公的に描かれているものは地域との調和を意識したものが多いです。地域や建物の活性化にもつながっており、街全体がアートの一部として息づいているような感覚を楽しめます。
また、作品によっては社会的な問題や政治的なメッセージが含まれた作品もあります。アート作品を通じて社会的問題や異なる視点に触れ、自身の意見や感情について考える良いきっかけとなるでしょう。
グラフィティアートで有名な3人の代表アーティスト
ここでは、グラフィティアートで有名な代表アーティストを紹介します。
1. キース・ヘリング
キース・ヘリングは、1980年代に活躍したアメリカの著名なグラフィティアートアーティストで、ポップアートとストリートアートの先駆者の一人です。
単純な線と鮮やかな色彩を用い、人間や動物、社会的なシンボルを表現する独自のスタイルが特徴です。とくにRadiant BabyやDancing Figuresなどのアイコン的なモチーフで知られています。
ヘリングはアートを政治的なメッセージや社会的な意識の表現手段として位置づけ、エイズの啓発活動にも献身的に取り組みました。
2. ジャン=ミシェル・バスキア
ジャン=ミシェル・バスキアは、アメリカのアーティストです。27歳という若さで亡くなりましたが、その作品は世界中の美術館やコレクションで高く評価されています。
文字や象徴的なアイコン、鮮やかな色彩で溢れているのが特徴です。作品を通して黒人差別や社会的問題に対して独自のアプローチを示しました。
3. バンクシー
バンクシーは、正体不明のアーティストです。イギリス国籍であることは判明しているものの、その存在は謎に包まれています。
彼の作品は、社会的風刺や政治的メッセージを込め、しばしば都市の壁や建物に匿名で描かれます。バンクシーの作品はシンプルでありながら、強いメッセージがあるのが特徴です。作品を通して政治的な不満や社会的問題における人々の意識を喚起します。
2018年ロンドンのオークションにおいて、1.5億円で売却が成立された作品がシュレッダーで断裁させられたのは有名な話です。
グラフィティアートの有名スポット5選
最後に、グラフィティアートの有名スポットを5つピックアップして紹介します。
1. ベルリンの壁|ドイツ
ベルリンの壁は、冷戦時代の東西ドイツの分断した巨大な壁です。崩壊後はアートが描かれ、イーストサイドギャラリーとして有名な観光名所となっています。
壁には21カ国118名ものアーティストによって描かれた多様なアート作品が広がっており、とくに旧ソ連のブレジネフ書記長と旧東独のホーネッカー書記長のキス画が有名です。
2. リークストリート|イギリス
イギリスのリークストリートにあるトンネルは、有名なグラフィティアートのスポットです。イギリス出身者であるバンクシーが「ザ・カンズ・フェスティバル」というイベントを開催した場所としても知られており、「バンクシー・トンネル」とも呼ばれることも。
ロンドンで唯一許可なく描ける場所であり、全長約300メートルのトンネルには色鮮やかなアートが描かれており、アートは随時上書きされています。
3. レインボービレッジ|台湾
台湾・台中にあるレインボービレッジは、鮮やかな色彩とクリエイティブなグラフィティアートで有名なエリアです。
多くの国やメディアが取り上げるほど可愛くて写真映えするスポットが充実しています。台湾を観光するのであれば、ぜひ訪れたいグラフィティアートスポットです。
4. ボゴタ|コロンビア
コロンビアの首都ボゴタは、独創的なグラフィティアートで溢れた都市です。
ボゴタでは都市全体でグラフィティアートが認められており、壁、通り、建物の至るところでグラフィティアートを見ることができます。アート愛好家や旅行者にボゴタのストリートアートはおすすめです。
5. レーンウェイ|メルボルン
オーストラリア・メルボルンにあるレーンウェイは、世界的に有名なグラフィティアートの聖地です。
メイン通りから細い小道のレーンに入ると、カラフルで斬新なアート作品が壁一面に広がります。可愛いものからクールなものまで、多様なアートが360度楽しめます。
まとめ
この記事では、グラフィティアートの概要、代表アーティスト、有名スポットについて紹介しました。
グラフィティアートは社会的メッセージを伝える重要な役割を果たしているものもあれば、違法行為として問題視されている一面もあります。
落書きとして始まったアートですが、市場価値も上昇しアートとしての評価も高まってきています。今後の動向が楽しみなアートの一つです。