絵画の種類|技法・流派・作品物に分類して分かりやすくご紹介
絵画には技法や流派など様々な種類があることを知っていますか?今回の記事では、絵画の種類について技法・流派・作品物の3つのジャンルに分類して紹介していきます。絵画について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
絵画技法の種類
まずは絵画技法の種類について紹介します。
1. 日本画
日本画は、日本の伝統的な様式で描かれる絵画技法です。明治以降に西洋より伝えられた油彩画と区別するために「日本画」という言葉が生まれました。材料として岩絵具、胡粉、染料などの天然絵具を用いるのが一般的です。
有名な日本画には、土佐光信の「桃井直詮像」、横山大観の「秩父霊峰春暁」、竹内栖鳳の「班猫」などが挙げられます。
2. 洋画
洋画は、西洋で発達した技法や素材を使って描かれる絵画技法です。平面的な日本画に対し、洋画は陰影をつけて立体的に描くのが特徴。人を描く場合でも、体、髪、洋服に至るまで、事細かにリアルに表現します。
有名な洋画として、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」、ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」などが挙げられます。
3. 油絵
油絵は、油絵の具を使って描かれる絵画技法です。水は使わず、絵の具を薄める際は油を使います。絵の具を重ね塗りすることで重厚的な絵画を描いたり、ペインティングナイフを使って一度塗ったところを削り取ったりするなど、自由自在に描けるのが油絵の魅力です。
代表的な油絵には、ゴッホの「14輪のひまわり」 フェルメールの「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」、クリムトの「接吻」が挙げられます。
4. 水彩画
水彩画は、水彩絵の具を用いて描く絵画技法です。水彩絵の具は水に溶けやすいのが特徴。水の量を調節することで、色を薄くしたり、ぼかしたりなど、水彩画の表現方法は多岐にわたります。重厚さを感じさせる油絵と異なり、透き通るようなみずみずしさや透明感があるのが特徴です。代表的な水彩画として、J.M.W.ターナーの「トラファルガーの戦い」などが挙げられます。
5. アクリル画
アクリル画はアクリル絵の具を用いて描く絵画技法です。アクリル絵の具は水で溶いて使用しますが、乾くと耐水性になる特徴を持ちます。そのため、水彩画のようなぼかしだけでなく、油絵のような重ね塗りができるなど、それぞれの良さを引き出せるのがアクリル画の魅力です。
絵画流派の種類
絵画にも思想や価値観によって様々な流派が存在します。ここでは絵画流派の種類を紹介します。
1. 印象派
印象派は19世紀後半にフランスで起こった芸術運動。明るい色彩を用いて外の建物、人物などの印象を描いているのが特徴です。印象派の代表的な画家として、モネやピサロ、ゴッホなどが挙げられます。
2. 抽象派
抽象派は19世紀後半に起きた芸術運動。抽象派では題材となるモチーフを画家独自の世界観で描かれます。幾何学的なものから抒情的なものまで絵画のタッチは様々。再現描写に拘ることなく、画家独自の世界観が投影されます。抽象者の代表的画家として、パブロ・ピカソ、ジョルジュ・ブラックなどが挙げられます。
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3. 写実主義
写実主義は19世紀中頃に起きた芸術運動。現実の日常をありのままに再現しようと試みた画家たちによって広まりました。写実主義の代表的画家として、オノレ・ドーミエ、ジャン=フランソワ・ミレー、ギュスターヴ・クールベなどが挙げられます。
4. ロマン主義
ロマン主義は18世紀末に起きた芸術運動。それまで主流であった古典主義に反発する形で生まれました。感受性や個性などを重視するロマン主義は、恋愛や自然賛美、過去への憧憬、民族意識の高揚など、抒情的かつ感情的な表現が特徴となっています。
ロマン主義の代表的な画家として、テオドール・ジェリコー、ウジェーヌ・ドラクロワなどが挙げられます。
5. 新古典主義
新古典主義は18世紀頃中頃から起きた芸術運動。ギリシャ・ローマなど古典芸術などが基となっており、形式的な美、写実性を重視しています。
新古典主義の代表的な画家として、ジャック=ルイ・ダヴィッド、ドミニク・アングル
フランソワ・ジェラールなどが挙げられます。
絵画作品の種類
絵画作品は題材とするテーマによって種類が変わります。ここでは絵画作品の種類について紹介します。
1. 静物画
静物画は、静止した自然物や人工物を題材とした絵画作品。自然物では花、頭蓋骨、狩りの獲物、貝殻、野菜、果物、台所の魚など、人工物ではガラス盃、陶磁器、パン、料理、楽器、パイプ、本などが対象となります。
対象の向きを変えたり、動かしたりなど、自由に構図を変えられる画家側のメリットがあります。動かない対象を題材にしているため、画家の構成力と技量が求められる作品といえるでしょう。
2. 風景画
風景画は風景を題材とした絵画作品。自然(森・山・河川・海)や建造物、都市などの景観が描かれているのが特徴です。家族で出掛けた旅行先の海、幼い頃よく目にした田畑など、何気ない風景が私達の心に残っていたりします。風景画はそんなワンシーンを切り取り描くことで、鑑賞者に懐かしさや気づきを与えてくれます。
また、異なる国や地域を描いた風景であれば、その地域を想像して楽しめたり、まるで現地に行ったような、行きたくなるような気持ちにもさせてくれるでしょう。
3. 肖像画
肖像画は特定の人物を描いた絵画作品。肖像画の歴史は古く、古代エジプトの時代に遡り、葬儀の時に描かれた一般人の肖像画が発見されています。
肖像画は直接モデルを前にして写実的に描かれたり、時に理想化されたり戯画化されて実際の人物とは多少異なる姿で描かれることもあります。画家がモデルに対して抱くイメージが反映されてるのが特徴です。
有名な肖像画として、「サン=ベルナール・峠を越えるボナパルト」「真珠の耳飾りの少女」が挙げられます。
4. 宗教画
宗教画は宗教上の目的のために、宗教に関する出来事を描いた絵画作品。具体的には、宗教に関連した人物や伝説、神話が主な題材として扱われます。
当時の人は読み書きができず、聖書だけで宗教を知ることは難しかったのです。そのため、教会が「視覚的に表現できる絵画を用いて宗教を広めよう」と画家に宗教画を注文するようになりました。これが宗教画の始まりといわれています。
5. 歴史画
歴史画は歴史上の事件や神話などを描いた絵画作品。歴史画は歴史上の一出来事を描いたものとして、宗教画と区分されることもあります。ヨーロッパにおいては、権力者が勝利を誇示するために描かれた絵画が多いのが特徴です。
購入できる絵画の種類
絵画に興味がある方は、実際に購入してみることをおすすめします。ここでは購入できる絵画の種類について紹介します。
1. 原画
原画は、アーティストが直接描いた絵画です。世界にひとつとない希少性の高さから、有名な画家の絵画は数億円で取引されることがあります。実際に2021年5月13日、ニューヨークのオークションで、パブロ・ピカソが1932年に描いた油絵「窓辺に座る女」が1億340万ドル(約113億円)で落札されました。
2. 版画
版画は原画を複製する技法、かつ技法によって複製された絵画です。彫刻や細工を施した版を紙に刷ることによって絵画を複製します。版画にはエディショナル・ナンバーが割り振られているため、同じ複製であるプリント画と違って希少性が高いのが特徴です。
3. プリント画
プリントは、絵画を印刷したものです。エディショナル・ナンバーが記載されていないため、絵画としても価値はありません。とはいえ、安く絵画を購入できるため、自宅で気軽にアートを楽しめるというメリットはあります。
まとめ
今回の記事では、絵画の技法や流派、作品について紹介しました。絵画といっても画家やアーティストによって技法や流派が異なります。それぞれの作品の違いを楽しむのも絵画の魅力の一つです。ぜひ多くの絵画に触れて、その奥深さを味わってみてくださいね。
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